IT・システム判例メモ

弁護士 伊藤雅浩が,システム開発,ソフトウェア,ネットなどのIT紛争に関する裁判例を紹介します。

アマゾンで購入した製品の発火とアマゾンの責任 東京地判令4.4.15(令2ワ27469)

アマゾンの出店者から購入した製品によって火災事故が生じたという事例において、アマゾンの責任の有無が問題となった事例。

ゲーム内での誤表示(不実告知)と法定追認事由による取消権喪失 東京地判令3.11.19(令2ワ31741)

ゲーム内の「お知らせ」の誤りが消費者契約法の「不実告知」に当たるとしたが、その後のユーザの行動が「法定追認事由」に当たるとして取消を認めなかった事例。

事業譲渡に伴うシステムの仕様書等の引渡義務 東京地判令2.2.28(平29ワ25469)

SaaS事業の事業譲渡において、当該SaaSシステムに関するドキュメントの引渡義務の有無が争われた事例。

ベネッセ事件 責任論・損害論 東京高判令2.3.25(平31ネ1058)

平成26年6月に起きた大量の個人情報持ち出し事件(ベネッセ事件)に関し、原審の判断を覆してベネッセの責任を認めた事例(弁護団事件の一つ)。

プログラムの職務著作の成否と著作権法47条の3の適否 知財高判令3.5.17(令2ネ10065)

情報処理科の非常勤講師が開発したプログラムについて職務著作の成否と、著作権法47条の3等に基づく複製・翻案の成否が問題となった事例。

開発契約の成立を否定した事例 東京地判平30.11.30(平29ワ3861

提案書、見積書の提出を経て、初回代金が支払われたが、システムの内容が明確になったとはいえないとして契約の成立を否定した事例。

契約の成否と契約締結上の過失 東京地判平29.1.13(平26ワ14718)

要件定義フェーズ後に、開発フェーズの作業を実施したものの金額等の条件の合意に至らず中止された場合において、注文者の契約締結上の過失責任が認められた事例。

SES契約における期間途中の撤収の責任 東京地判令3.12.20(令2ワ20021)

顧客からのクレームに納得できず、SES契約の期間途中に(ほかの案件も含めて)要員を撤収させたこと適否が問題となった事例。

レベニューシェア型取引における説明・情報提供義務 東京地判令4.4.22(平30ワ33066)

期待したレベニューシェアが得られなかったという場合において、一方当事者による事前の情報提供、説明義務違反が問題となった事例。 本事例は、Business Lawyersに寄稿した解説記事を、了解を得て当ブログに転載したものです。 www.businesslawyers.jp

マイグレーションの失敗(控訴審)東京高判平29.12.13(平28ネ5331)

AS400からのマイグレーション事案で履行不能が認められた東京地判平28.10.31の控訴審。ただし、ここでは、基本契約に定める方法に沿わない形での個別契約の成否についてのみ取り上げる。

PaaSを用いた開発の頓挫 東京地判令4.6.17(平29ワ39859)文化シヤッターvs日本IBM

PaaSを用いた大型のシステム開発紛争において、ベンダの開発手法・方法論の選定や、プロジェクトマネジメント違反等による損害賠償責任が認められた事例。

ビジネスソフトウェアの表示画面に関する著作権侵害(控訴審)知財高判令4.3.23(令3ネ10083)

書店向け業務ソフトの表示画面に関する著作権侵害の成否が争われた事案の控訴審判決。

アジャイル開発と開発言語の合意・未完成の責任 東京地判令3.9.30(平31ワ3149)

アジャイル開発の紛争事例。ポイントは、①契約の性質は請負か、②開発言語や納期などの債務の内容の合意、③損害の範囲。

幹部による同業他社への引抜行為 東京地判令4.2.16(令元ワ17950)

大手コンサルティングファームの幹部が、競合に転職後、チームメンバーらに転職するよう勧誘した行為が、社会的相当性を逸脱するものであるかが争われた事例。(本件は、「IT・システム判例」ではないが、IT業界全般で起こりがちな話で注目を集める事案なの…

ハッキングによる暗号資産流出の責任 東京高判令2.12.10金商1615-40

不正アクセスによってビットコインが外部に不正送付されたユーザが、暗号資産(仮想通貨)交換業者に対して損害賠償等を求めた事案において、利用規約中のパスワード管理に関する免責条項によって免責されるか否かが問題となった事例。

準委任契約に基づく報酬請求と善管注意義務違反 東京地判令2.9.24(平28ワ28934)

開発は途中で終わった場合でも、準委任契約に基づく報酬請求はできるが、適切な計画立案・実行ができていなかったとして善管注意義務違反が認められた事例。

完成前の解除と既払金の返金と契約の性質 東京地判令2.3.13(平29ワ32845)

アプリ開発において契約が解除され、既払い金の返還が争われた事案において、契約の性質が請負契約か、技術・労務提供を目的とした無形契約であるか等が争われた事例。

先行開発の見切り発車と契約の成否 東京地判令2.6.15(平31ワ6095)

ベンダによる開発行為は,共同開発の委託という合意に基づくものであって相当報酬額の請求ができるか(主位的請求),仮に合意がなくとも合意が不成立になったことについて相手方に契約締結上の過失があるか(予備的請求)が問題となった事例。

ビジネスソフトウェアの表示画面に関する著作権侵害の成否 東京地判令3.9.17(平30ワ28215)

書店向け業務ソフトの表示画面に関する著作権侵害の成否が争われた事案。

宿泊予約仲介プラットフォームの責任 東京地判令元.9.5(平28ワ32620)

利用者が「静かな部屋」をリクエストして部屋を予約したが実態と異なっていたとして,利用者が予約仲介プラットフォーム事業者の責任を追及した事案。

ツイートにおけるスクショの添付と引用 東京地判令3.12.10(令3ワ15819)

スクリーンショット形式でツイートを添付した行為について,引用の成否が問題となった事例。

放置系RPGの著作権侵害 知財高判令3.9.29(令3ネ10028)

スマートフォン用RPGのゲームの著作権侵害が争われた事例。

著作権侵害と表明保証違反 東京地判令3.6.18(平31ワ3100)

全株式取得による買収の直後に,大胆な著作権侵害の事実が発覚したことにより,表明保証違反・補償義務の有無が問題となった事例。

Googleマイビジネスアカウントの不適切な運用による責任 東京地判令3.1.26(令2ワ2605)

Googleマイビジネスアカウントの運用を適切に行わなかったことによる責任が追及された事例。

インフルエンサーキャスティングPFの中抜き禁止合意違反と違約金 東京地判令2.11.6(平31ワ3350)

いわゆるインフルエンサー(フォロワー数の多いSNS利用者)と,企業とのマッチングを行うサービスにおいて,直接取引を行った行為が禁止行為に当たるとして,プラットフォーム運営者が企業に対し違約金を請求したところ,違約金条項の有効性が問題となった事…

懲戒請求者リストの訴訟上の提出と不法行為 横浜地判令2.12.11(令和2ワ2097)

弁護士に対する大量懲戒請求事案に関し,損害賠償請求をした弁護士が裁判所に懲戒請求者のリストを提出した行為について不法行為に当たるかが争われた事例。

ハッシュタグ使用と商標的使用 大阪地判令3.9.27(令2ワ8061)

他社のブランド名のハッシュタグを使用したメルカリの出品者に対して,商標権侵害を認めた事例。

契約の成立と契約締結上の過失(いずれも否定) 東京地判平30.1.31(平27ワ31116)

元請けから下請けに対し,請負契約の成立や契約締結上の過失を主張したがいずれも退けられた事例。

請負契約の成否と人件費相当の損害 東京地判平30.3.6(平28ワ37748)

システム未完成の責任を問われた開発者が契約の成立を否定するとともに,注文者の人件費相当額の損害について争われた事例。

1ライセンスでの使用可能な範囲の解釈と,違約金合意の有効性 東京地判令3.3.24(平30ワ38486)

ソフトウェアの1ライセンスで許諾される利用可能な範囲と,通常料金の10倍という高額な違約金を定める条項の有効性が問題となった事例。 注:知財高判令3.11.29(令3ネ10035)にて,原審が維持されている。特に特筆すべき個所はない。