IT・システム判例メモ

弁護士 伊藤雅浩が,システム開発,ソフトウェア,ネットなどのIT紛争に関する裁判例を紹介します。

判例一覧

当ブログで掲載する判例のリストです。

【争点別】システム開発をめぐる紛争インデックス

システム開発紛争事例を,争点別にまとめました。非常に乱暴に要約しているので,詳細はリンク先または判決文をご確認ください。個別のエントリを追加したら随時インデックスも更新します。 契約の成否 契約締結上の過失 契約の個数・性質 仕様の認定・契約…

(仕掛中)【争点・分野別】(システム紛争以外の)インデックス(仕掛中)

システム開発・運用関連裁判例以外の当ブログ収録裁判例について,論点・分野別のインデックスをまとめておきます(同一の裁判例が複数個所に記載されていることもあります)。非常に乱暴に要約しているので,詳細はリンク先または判決文の原文でご確認くだ…

YouTubeチャンネルアカウントの管理権限の所在 東京地判令5.2.10令3ワ31966

YouTubeチャンネル用のGoogleアカウントのオーナー(管理権限)がユーチューバーか、動画編集者かのいずれかにあるのかが争われた事例。

ソフトウェア画面と商品形態模倣 東京地判平30.8.17(平29ワ21145)

競合するソフトウェアの販売行為について、商品形態模倣(不競法)または一般不法行為の成否が問題となった事例。

アジャイル型開発における未完成の責任 東京地判令3.11.25(平30ワ25117)

アジャイル型でアプリ開発を進めたところ、完成に至らなかったことについて、ベンダの不完全履行、プロジェクトマネジメント義務違反等が主張されたが、いずれも否定された事例。

検収の成否 東京地判令3.9.28(平31ワ1658)

検収後に分割で代金が支払われるという条件のもとで、一部の代金が支払われていたという場合において、システムの検収(仕事の完成)が問題となった事例。

ソースコードの秘密管理性 大阪地判令6.7.30(令2ワ1539)

元従業員が、ソースコードを不正に持ち出した等として、不正競争防止法に基づく差止請求等を行った事案において、営業秘密該当性(秘密管理性)が問題となった事例。

チケットのキャンセル・転売を禁ずる条項の消費者契約法10条該当性 大阪地判令5.7.21(令元ワ9185)

テーマパークのチケットの購入に際して適用されるキャンセル・転売ができないという条項が消費者契約法10条等に該当するか否かが問題となった事例

事業譲渡に伴うアカウント情報の開示 東京地判令5.2.8(令2ワ11378)

ブログ事業の事業譲渡に伴い、当該事業のインスタのアカウント情報の開示請求が認められるか否かが争われた事例。

和解条項の解釈とプログラムの複製 東京地判令5.2.3(令2ワ13631)

過去の裁判外の和解、裁判上の和解の違反の有無が争われたほか、システムの導入が不正競争(営業秘密)または著作権侵害(複製権侵害)に当たるかが争われた事例。 事案の概要 請求が多岐に渡るため、、ここで取り上げる争点に必要な限度で事案を簡素化する…

仕事の完成・PM義務 名古屋地判令6.5.31(令2ワ4511)

仕事の完成が否定され、その責任はベンダにある等として、報酬請求が否定された事例。

文化シヤッターvs日本IBM控訴審 東京高判令6.5.16(令4ネ3424)

PaaSを用いた開発が頓挫した事例において、ユーザにも仕様検討の遅れなどの落ち度はありつつも、過失の程度はそれほど大きくないとして、ベンダとの過失割合を9:1とした事例。

ベンダ内部での評価結果文書とその過程文書の提出義務 東京高決令3.12.14(令3ラ706)

システム開発紛争における文書提出命令申立て事件にて、ベンダ内部の評価文書やその作成過程が自己利用文書に当たって開示を拒絶できるかどうかが問題となった事例。

サービス利用契約の成否 東京地判令3.8.3(平28ワ13520)

5年間のクラウドサービス利用契約等が成立したと主張し(予備的に契約締結上の過失を主張し)、途中解約に伴う損害賠償等を請求したが、いずれも認められなかった事例。

システム全体の著作物性 知財高判令4.7.13(令4ネ10023)

プログラムやデータベースといった個々の構成要素ではなく、ハードウェア・ソフトウェアの組み合わせや選択といったシステム全体の著作物性が争われた事例。

契約の成否(担当者の契約締結権限)東京高判平29.9.27(平28ネ2882)

担当者同士の合意を認めつつも契約成立を否定し、一部について商法512条の相当報酬請求を認めた事例。

請負か準委任か/未完成の責任 東京地判平27.11.24(平25ワ15414)

開発に関連する2つの契約について、法的性質(請負/準委任)が争われたほか、請負とされた契約が未完成に終わった場合において、全体のPMを担当していた発注者の責任だとされて報酬請求が認容された事例。

プログラムの著作物性と複製の黙示的承諾の有無 大阪地判令6.1.29(令元ワ10940)

相当程度の分量があるプログラムのソースコードには創作性があるとして、著作物性を認めたが、複製・改変することの承諾があったとして、著作権侵害を否定した事例。

検収がない場合における請負代金請求の可否 東京地判令4.6.22(平29ワ7335)

システム/製品の納入を目的とする請負契約において、検収をしていないから払わないとの主張が排斥された事例。

自治体システムへの不正アクセスとベンダの責任 前橋地判令5.2.17(令2ワ145)

ファイアウォール設定の誤りの脆弱性により不正アクセスが行われ、自治体のシステムから個人情報の漏えいした疑いがある件について、ベンダの重過失が認められた事例。

グーグルマップは個人情報データベース等か 東京地判令5.10.4(令4ワ26758)

グーグルマップ上の口コミデータが、「個人情報データベース等」に該当するかどうかが問題となった事例。

開発業務委託におけるソースコード引渡義務の有無 東京地判令4.3.15(令元ワ29058)

継続的なメンテナンスが予定されていたことから、注文書に明記されていなくても、実行ファイルのみならずソースコードの引渡義務もあったとし、ソースコードの最新版が提供されなければ債務不履行となるとされた事例。

棋譜データの利用と配信 大阪地判令6.1.16(令4ワ11394)

対局実況中継番組を配信する事業者が、Youtube等に投稿された棋譜中継動画の削除申請を行ったことの適否が問題となった事例。

情報番組における個人サイト記事の無断利用 知財高判令5.3.16(令4ネ10103号)

Eテレ番組の「将棋フォーカス」において、原告が運営するサイトの文章と類似するナレーション・字幕が使用されたことについて、著作者人格権侵害となるかが争われた事例。

YouTube動画の引用 知財高判令5.3.30(令4ネ10118)

YouTube動画によって名誉毀損されたと主張する者が、当該動画の一部を複製して権利侵害を訴える動画を作成したことについて、引用(著作権法32条1項)が成立するかどうかが問題となった事例。

ベンダが提供していない決済モジュールの不具合による情報漏洩事故 東京地判令2.10.13(平28ワ10775)

ECサイトにおけるクレジットカード情報漏洩事故が、決済代行業者から提供されたモジュールの不具合があったという場合において、開発ベンダの責任がモジュールの仕様・不具合の確認まで及ぶか否かが問われた事例。

検収合格証の交付と課題管理台帳 東京地判平30.2.6(平26ワ10135)

検収合格証を交付していたことから開発義務の債務不履行を否定し、課題管理台帳の内容も正常稼働を妨げる要因となるものはないとして稼働保証責任の不履行も否定した事例。

納期変更の合意と「現行踏襲」の不達成 東京地判令4.3.29(平31ワ5697)

所定の納期に遅延したことについて変更合意があったか否か、現行踏襲が実現されていないことが不完全履行にあたるか等が問題となった事例。

履行の提供が認められて履行遅滞の責任が否定された事例 東京地判令3.3.17(平27ワ23788)

契約上の納期に遅延したものの、納期の変更が合意されたと評価したうえ、変更後の納期にベンダが成果物を提示したことが、有効な弁済の提供にあたるとして、履行遅滞の責任が否定された事例(民法492条)。