IT・システム判例メモ

弁護士 伊藤雅浩が,システム開発,ソフトウェア,ネットなどのIT紛争に関する裁判例を紹介します。

【争点別】システム開発をめぐる紛争インデックス

システム開発紛争事例を,争点別にまとめました。非常に乱暴に要約しているので,詳細はリンク先または判決文をご確認ください。個別のエントリを追加したら随時インデックスも更新します。

契約の成否

システム開発請負契約は,ベンダから仕様書,見積書等が提示され,これをユーザが承認して発注することにより相互の債権債務の内容が確定した段階で成立する(名古屋地判平16.1.28)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20100108/1327130292

システム開発総額の見積書が提示されたものの,開発範囲はFit&Gapの結果によって決まるなどの記載に照らすと開発契約は成立していないがパッケージライセンス契約と要件定義にかかる契約は成立している(東京地判平21.9.4)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20110428/1327152617

■正式には上層部の決裁が必要であったことは双方了解しており,契約書も案文のやり取りにとどまっていたことから契約は成立していない(東京地判平20.9.30)→控訴審でも維持(東京高判平21.7.27)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20101120/1327151922

NDA,基本契約は締結されていたが,委託範囲は明確でなく,金額も口頭で伝えられていたにすぎないことから契約は成立していない(東京地判平20.7.29)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20101119/1327131833

■前半フェーズでは書面による注文があったが,後半フェーズで書面がなかった等により後半フェーズについては契約が成立していない(東京地判平19.11.30)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20120104/1327155128

■基本契約書には開発の個別契約は書面交付により成立するとされていたにもかかわらず,書面がなかったことから請負契約は成立していないが,要件定義等を内容とする準委任契約は口頭により成立していた(東京地判平19.1.31)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20120421/1335021048

■要望書を提出したり,キックオフミーティングが開催された等の事情があっても費用の合意などもないことから契約は成立していない(東京地判平17.3.28)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20110814/1327154332

■営業用の広告物を配布したり,説明をするなどの営業活動を行っていたという事実までは認められても,それを超えて,契約が締結され,その履行の一部が行われていたとは認められない(東京地判平21.12.24)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20130622/1371906767

■基本契約はあくまで包括的な契約であって注文書や注文請書がない限り具体的な業務委託料が発生するものではなく,契約書が形骸化したという事情もない(東京地判平20.7.10)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20140205/1391606175

■基本契約には書面によってのみ個別契約が成立するとされていたが,常に事前に書面を作成することを求めるのは実情に合わないとして要求一覧表と,見積書によって,追加開発分の契約成立を認めた例(東京地判平25.9.30)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20150412/1428844809

■メールのやり取り等によって業務を委託する契約が成立したことを認め,請負・準委任契約において具体的代金を定めることは必ずしも契約成立要件として必須のものではないとした例(東京地判平26.11.5)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20150716/1437033151

■開発者から75万円という金額とともに開発の提案がなされて打ち合わせ等が行われ,さらにNDAが取り交わされたという事案において請負契約の成立を認めた例(東京地判平30.3.6)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2021/08/15/180811

■エンドユーザと元請けとの契約は成立しており,作業は進められていたが,個別契約は発注書を取り交わすことによって成立するという条件を具備していなかったことや下請けの内容が確定していなかったとして下請けとの請負契約の成立を否定した例(東京地判平30.1.31)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2021/10/02/183949

■開発費用を折半するという合意はおよそ成立していたとは評価できず,基本契約に基づく個別契約成立の手続も行われていないとして契約成立を否定した例(東京地判令2.6.15)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2022/02/19/121322

■基本契約に定める記名押印の様式に沿っていない場合でも追加的作業について一部の個別契約の成立を認めた例(東京高判平29.12.13)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2022/07/30/174328

■要件定義工程と異なり、開発工程では契約書面もなく、金額の合意に至っていないとして契約の成立を否定した例(東京地判平29.1.13)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2022/08/10/212941

■提案、見積を経て初回代金が支払われたものの、基本契約書が取り交わされておらず、開発の内容も明確ではないとして契約の成立を否定した例(東京地判平30.11.30)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2022/08/20/160617

契約締結上の過失

■企画・提案段階においても,ベンダはプロジェクト・マネジメント義務を負うが,情報・能力の非対称性は双方に存在するものといえるから,計画どおりに進行しなかったことを以て直ちに義務違反とはならない(東京高判平25.9.26)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20131007/1381072443

■ベンダに頼むことがないことが確実になった後も,契約成立が確実であると誤信させるような行動をとり,契約締結予定日の5日前に白紙に戻したユーザには信義則違反があるとして,信義則違反を認めなかった原審を破棄した事例(東京高判平21.5.27)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20130915/1379172180
※原審(東京地判平20.9.30)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20101120/1327151922

■他のベンダも提案に加わったが形式的なものであるなどと説明して設計業務の一部を実施させていたことから,ユーザには契約準備段階における信義則違反がある(東京地判平20.7.29)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20101119/1327131833

■ベンダ選定の結果,指名し,後3カ月にわたって作業を行った後に見積代金が高いとして契約締結を拒絶した場合におけるユーザは,契約締結上の過失に基づく責任を負う(東京地判平24.4.16)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20130104/1357293948

■基本設計を2つのフェーズに分け,連続的に実施されることが予定されており,ユーザも前半で終了するとは考えていないままベンダが後半フェーズの作業に着手し,ユーザ側の事情で後半フェーズが中止されたという事情においては,ユーザは信義則上の義務に違反した(東京地判平19.11.30)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20120104/1327155128

■ユーザは発注の意思を明確にしておらず,見積額が上昇したことに納得せずに提案を拒否したことなどの事情の下では,ユーザに信義則上の注意義務違反はない(東京地判平17.3.28)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20110814/1327154332

■納期に間に合うよう要件定義を進めなかったことがベンダの契約締結上の過失ありとしつつも出来高分について商512に基づいてベンダの報酬請求を認めた事例(東京地判平19.10.31)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20130719/1374171100

■紛争当事者以外の者による改良要求を端緒として交渉決裂したものだとしても,これまでの契約交渉経緯に照らして過大な期待を抱かせたとして,原審を破棄して発注(予定)者に信義則違反があるとした事例(最判平19.2.27)―ゲーム機開発の例
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20140301/1393682195

■多段階契約方式が採用された場合において,基本契約の締結によって全工程の個別契約の締結が約束されたものではなく,第3フェーズの契約が締結されるという期待は法的保護を受けるものではないとした事例(東京高判27.5.21) ※原審(東京地判平26.11.20)は一部認められたがその判断を覆した
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20160104/1451917027

■システム納品後に保守契約が締結されなかったことについて,ベンダが工数を投下していたとしても,それはベンダの判断によるものであって,ユーザの契約締結上の過失はないとした事例(大阪高判平27.1.28)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20170331/1490940341

レベニューシェア型でサービスを開発する約束の下に開発を進めたが,完成に至らなかったという事案において,発注側の契約締結上の過失はないとした事例(東京地判平30.2.27)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2019/06/24/215139

■基本契約・NDAは取り交わされたが,注文書「案」にとどまった事例で,契約の成立及び契約締結上の過失をいずれも否定された事例(東京地判平26.10.31)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2020/06/08/231412

■契約書が調印に至っていないこと,アプリの権利帰属が合意されていなかったこと,担当者の発言が会社の意思を示すものではないことなどを理由に契約の成立を否定した事例(東京地判令2.2.27)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2021/02/18/001855

■契約が成立しなかったのは,下請けに委託する範囲が決まっていなかったことや経営統合の話が決裂したことによるものであって,下請け側に一方的な過失があるとはいえないとした事例(東京地判平30.1.31)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2021/10/02/183949

■開発の準備段階において,契約を成立させる努力義務などは存在せず,契約が成立するものとの誤解を与えない義務や誤解を解く義務の違反はないとされた事例(東京地判令2.6.15)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2022/02/19/121322

■注文者から開発環境の提供を行い、成果物のフォーマット等に指示を行い、現に成果物の作業も行っていたことなどから、受注について強い期待を抱かせたとして契約締結上の過失を肯定したが履行利益の賠償までは否定した事例(東京地判平29.1.13)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2022/08/10/212941

契約の個数・性質

■一つの目的に向けて工程別に契約が締結されているとしても,解除原因の有無は個々の契約について判断するとして,個々の個別契約は検収も終えているから債務不履行はないとした事例(東京地判平28.4.28)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20160725/1469373646

コンサルティング契約という表題であってもシステム構築の一部を含めば請負契約の要素を含む(東京地判平22.9.21)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20110831/1327154433

■報酬が月単位で決まっていたものの「開発業務を実施する」旨の文言があったことなどから顧問契約ではなく請負契約が含まれる(東京地判平21.11.24)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20120121/1327155204

■請負契約におけるベンダはユーザから業務内容等を聴取し,システム導入目的に適うシステムを構築すべき義務を負う(東京地八王子支判平15.11.5)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20120112/1327155178

ホスティング契約はデータやプログラムに関する寄託契約的性質があるとはいえない(東京地判平21.5.20)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20111111/1327154887

■開発請負契約とサーバ売買契約は別の契約でありながらも一体であるから請負契約の解除事由はサーバ売買契約の解除事由にあたる(東京地判平18.6.30)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20100117/1327130881
※同様の判断(東京地判平28.11.30 http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20180108/1515421342

■密接に関連する契約については,それ自体に債務不履行がないとしても,解除することができるとした事例(東京地判平28.10.31)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20180209/1518105903
控訴審 東京高判平29.12.13 https://itlaw.hatenablog.com/entry/2022/07/30/174328 )

■多段階契約において密接関連性が認められ,当該他の個別契約のみの実現を強制することが相当でないといえる場合に限って債務不履行のない他の契約の解除もできるとした事例(東京高判令4.10.5)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2023/07/12/003741

■システム全体が稼働しないという後発的事象を以て,ソフトウェア売買契約締結当時にユーザに錯誤があったとはいえない(東京地判平24.5.30)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20121218/1355842197

システム開発においては,書類上契約条件を詳細に定めることはせず,契約締結後の当事者双方の協議によって具体的内容を確定させていくということも一般的だ(東京地判平24.3.27)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20121222/1356187145

■(CGデータの制作)請負的な性格を有する業務の委託契約であって,しかもその完成に至るまでに,請負人の作業や修正作業などに対する注文者の的確な指示が必要であり,このような共同の作業によって契約の履行が完遂される(東京地判平20.12.25)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20130428/1367140729

■システム保守契約において作業時間に応じて報酬を定めていたこと,不具合対応工数を除外していたこと等から,請負契約とも準委任契約とも割り切れない契約関係にあった(東京地判平24.4.25)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20121230/1356873016

■ソフトウェア開発委託契約について,契約締結時に開発の目的物が確定していないとしても,検収瑕疵担保責任等の規定があることなどから,準委任ではなく請負であるとした事例(東京地判平28.4.20)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20170111/1484120312

■旧システムの内容を調査する調査契約と,サーバの管理,障害対応等を行う保守管理契約について,いずれの法的性質も準委任契約だとした事例(東京地判平24.3.14)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20160111/1452489389

■請負契約ではなく,パッケージソフトの売買契約とサーバ等の設定に関する業務委託契約であるとした事例(東京地判平26.9.25)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20150601/1433166338

■「動作保障」などと契約書に書かれていたものの,実態はエンジニアを派遣して都度協議した業務を行う契約であるとした事例(東京地判平27.6.25)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20160217/1455635342

ウォーターフォール式開発における多段階契約の意義。個々の個別契約に基づく完成責任を否定した事例。(東京地判平31.3.20,東京高判令3.4.21)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2019/04/30/225039
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2021/06/20/020351

■派遣類似の契約であるとの主張を排斥し,完成責任を負う請負契約であると認定した事例(東京地判平3.2.22)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2019/10/12/141255

■契約締結前に提示された開発総額は,設計によって多少の増加があるとしても大幅な追加負担はほとんどないものとして提案されたとした事例(東京地判平30.10.12)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2019/10/13/100536

■多段階契約が採用された意義について,ユーザにとって先行の個別契約の履行状況を判断材料として後続の個別契約を締結するか否か選択する機会が与えられたものとした事例(東京地判平30.10.12)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2019/10/13/100536

■要件定義等を行わず,通常とは異なる手順で開発を行い,かつ,報酬は月額20万円とされていたソフトウェア開発契約が準委任契約であるとされた事例(東京地判令2.12.22)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2021/03/22/224220

アプリ開発を目的とした請負契約であって、技術・労務提供を目的とする無名契約ではないとした事例(東京地判令2.3.13)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2022/03/05/113815

■準委任契約であって完成責任を負わないことが明記された契約書が取り交わされた事例において、準委任契約であると認定された事例(東京地判令2.9.24)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2022/03/24/001127

アジャイル開発で、月額報酬型の契約において、請負契約またはそれに類する無名契約であると認定された事例(東京地判令3.9.30)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2022/05/04/231359

■ソフトウェアの改良・機能の追加が見積書・注文書を通じて順次行われたという状況において、全体を通じて1つの請負契約が成立するのではなく、個々の契約が成立したとされた事例(東京地判令4.3.15)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2024/03/09/154811

仕様の認定・契約の内容

■要件定義書のほか,契約締結前後のやり取りから,要件定義書に記載されていない機能についても開発の対象だと認定した事例(東京地判平27.2.18)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2019/06/29/121444

■当初の設計書記載の内容とは異なるものであっても,特に異議なく次のフェーズに入った場合には,前のフェーズの仕事は完成しているとした事例(東京地判平29.11.21)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2019/07/02/213047

■開発スコープは,プロジェクト計画書に基づいて作成された要件定義書をもって画定されるとした事例(東京高判令2.1.16)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2020/07/14/175957

■既存部分で用いられていた開発言語で開発することが合意されており、ユーザの同意なく変更することは債務不履行だとされた事例(東京地判令3.9.30)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2022/05/04/231359

■パッケージベンダは、適合性に懸念があるときは、信義則上、ユーザーが当該ソフトを導入するかについての適切な判断をすることができるように配慮すべき義務を負う(東京地判令3.12.2)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2022/11/19/003613

■リスケ後のスケジュールを提示し、ユーザが「必達である」などと回答したことを以って納期が変更されたと認定された事例(東京地判平29.1.20)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2023/04/12/222639

■契約上の納期からの遅延はあったものの、双方合意の上で納期が変更されたと認定された事例(東京地判令3.3.17)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2023/07/22/155128

■契約上の納期からの遅延はあったものの、追加契約の納期が変更されていたことなどを理由に変更合意がされていたとした事例(東京地判令4.3.29)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2023/08/03/191703

■夜間バッチが所定の時間内に終了することは請負契約の内容に含まれるとした事例(東京高判令4.10.5)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2023/07/12/003741

■継続的なメンテナンスが予定されていたことから、実行ファイルのみならずソースコードの引渡し義務もあったとし、ソースコードの最新版が提供されなければ債務不履行となるとした事例(東京地判令4.3.15)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2024/03/09/154811

プロジェクト中断の責任

■ベンダは懸案事項について複数の選択肢を示して解決するよう導くなどのプロジェクトマネジメント義務を負い,ユーザも協力義務を負う(東京地判平16.3.10)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20120210/1328884424

■ベンダは,適宜得られた情報を集約・分析して,ベンダとして通常求められる専門的知見を用いてシステム構築を進め,ユーザに必要な説明を行い,その了解を得ながら,適宜必要とされる修正,調整等を行いつつ,本件システム完成に向けた作業を行うこと(プロジェクト・マネジメント)を適切に行うべき義務を負う(東京高判平25.9.26)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20131007/1381072443

■ベンダとしては,局面に応じて,ユーザのシステム開発に伴うメリット,リスク等を考慮し,適時適切に,開発状況の分析,開発計画の変更の要否とその内容,更には開発計画の中止の要否とその影響等についても説明する義務を負う(同上)。

システム開発の専門家であるベンダは、パッケージの選定に当たり、ユーザが構築しようとしているシステムに最適のパッケージを選定した上、これに適した開発方法を採用し十分に検証又は検討しなければならない(東京地判平24.3.29(スルガIBM一審))
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20120523/1337775069

■ベンダは,契約の付随義務として,プロジェクトを阻害する要因の発見に努め,そのような事態が発生したときは対応策を提示する義務を負うとした上で,ベンダに付随義務違反を認めた例(東京地判平28.4.28)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20160725/1469373646

■プロジェクトが頓挫した最大の原因は,ベンダがユーザの追加開発要望に翻弄され,進捗管理を適切にすることができなかった点にある。他方で,仕様凍結後も多くの要望を出したユーザにも責任があるとした例(旭川地判平28.3.29)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20161103/1478099168

■上記地裁判決に対し,ユーザの協力義務違反によって頓挫したのであって,ベンダに責任はないと判断した控訴審判決(札幌高判平29.8.31)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20170929/1506693075

下請契約において,発注者であるベンダが,下請負人に対してプロジェクトマネジメント義務を負うことが契約の前提になっているわけではないとした事例(東京地判平22.7.13)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20130530/1369841914

■ベンダは、コンピューター関係の専門企業として、顧客であるYから提供された資料及び聴取等の結果に基き、本件システムの導入目的に適合したプログラムを作成すべき信義則上の義務を負担する(東京地判平9.9.24)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20130503/1367593289

■ベンダは開発契約の付随的義務として,専門的知見に照らし,仕様変更による影響を告知し,これを拒絶する義務,ユーザが担当するデータ移行に問題があるときはこれを告知し,指導する義務を負う(東京高判平26.1.15)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20140621/1403359427

■元請け・下請けの関係において,仕様変更が重なったこと,抜本的スケジュール変更をしなかったことについて,元請けの責めに帰すべき事由によって下請けの債務が履行不能になったとはいえないとした事例(東京地判平26.9.11)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20141223/1419323750

■システム仕様の提示・説明責任はユーザ側にある(東京地判平22.7.22)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20120502/1335971526
(同旨:東京地判平15.5.8 http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20120825/1345902466

■納期直前にユーザから変更要望はあったが信義則に反するものではなかった(東京地判平22.5.21)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20120124/1327334098

■遅延が生じそうなときに催促しなかったり作業手順の管理が不十分だったことから,ベンダに納期遅延の帰責性がないとはいえない(東京地判平19.2.16)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20130508/1367994519

■仕様変更・拡大が繰り返されたとのベンダの主張がいずれも排斥され,ユーザの協力義務違反はなかったとした事例(東京地判平19.12.4)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20101109/1327131786

■追加の要望はあったものの,当初仕様の範囲か,仕様変更かどうかは明らかではなく,ユーザの協力義務違反も,過失相殺すべき事情もないとした事例(東京地判平26.4.7)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20150126/1422248606

■テスト工数を減らしたこと、本番データの準備をしなかったこと、本番稼働を強行したこと等の協力義務違反の主張がいずれも退けられた事例(東京高判令4.10.5)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2023/07/12/003741

■ユーザから多くの要望が出されたとしても,進行如何によって受け入れられないときは,ベンダは拒否すべきであり,遅滞の責任がユーザにあったとは言えない(東京地判平18.6.30)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20091226/1327130012

■担当者が交替するなどして従前の注文内容を超える要求を繰り返したためにシステムが完成しなかったとしてベンダの債務不履行はないとされた事例(東京地判平21.5.29)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20130908/1378629458

■ユーザが仕様を確定せず,情報提供も怠ったことから協力義務違反があったとしてベンダは536条2項に基づいて反対給付の一部を請求できるとした事例(東京地判平23.10.20)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20150419/1429452380

■パッケージのカスタマイズ範囲を確定するという要件定義作業は元請けが負うべきでありパッケージベンダーの債務不履行はない(東京地判平17.7.27)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20120420/1334934155

■パッケージのカスタマイズ範囲は,成果物に記載されたものによって決まるものであり,記載のないものはパッケージの仕様に従う(東京高判平27.6.11)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20170910/1505017011

CRMの基盤づくり,見える化といったシステム導入目的がプロジェクト計画書に記載されているとしても,抽象的であって,契約の中身になっているものではない(東京地判平22.12.28)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20140723/1406125865

■開発の作業量が著しく増加し,契約締結当初とは根本的に異なった以上,ベンダには当初金額を支払われることを前提として開発を継続する義務を負わない(東京地判平23.4.27)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20121209/1355027444

■追加報酬請求の交渉中に作業員が引き上げたことにより債務の履行が不能になった場合において,発注者側の責めに帰すべき事由による不能とは言えないとして,請負人から民法536条2項に基づく報酬請求を否定した事例(東京地判平22.7.13)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20130530/1369841914

■注文者の経営が悪化したことにより開発作業が中断された場合において,発注者側の責めに帰すべき事由によって履行不能になったとして,請負人から民法536条2項に基づく報酬請求が認められた事例(東京地判平24.12.25)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20141018/1413618601

■本番稼働を中止したのは,ユーザのデータ移行等の準備不足が原因であって,個別契約に定めたベンダの義務について債務不履行はないとした事例(東京地判平24.5.30)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20121218/1355842197

■ユーザのデータ投入作業の不実施などがスケジュール遅延の一因であったとして,作業遅延を理由に解除を認めなかった事例(東京地判平9.9.24)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20130503/1367593289

■契約未締結の段階であっても,締結に至らなかった場合においてベンダのプロジェクトマネジメント義務違反類似の義務違反が認められた事例(東京地判平19.10.31)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20130719/1374171100

■システムの完成が遅延した原因が一部にユーザの要求確定遅延などにあるとしても,数度にわたって延期された最終納期からも遅れたことなどからベンダの責任は否定できないとした事例(東京地判平25.7.18)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20140505/1399260492

■開発方針の変更,開発体制,納品物の納品状況いずれにおいてもベンダの債務不履行はなく,解除通知は注文者による解除(民法641条)であるから,ユーザは損害賠償義務を負うとした事例(東京地判平27.3.24)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20151119/1447861157

■データ移行することが契約の前提とされており,契約の重要な要素となっていたから,データ移行に失敗したベンダには債務不履行があるとした事例(東京地判平22.11.18)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20151230/1451484023

■データ不整合の解消を動機として開発したシステムにおいて,データの不整合が解消されず,本番稼働されられなかったことについてベンダの債務不履行があるとした事例(東京地判平28.11.30)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20180108/1515421342

■システムが完成していたにもかかわらず合理的理由なく検収を拒絶し続けたことがユーザの検収協力義務違反(債務不履行)にあたるとした事例(東京高判平27.6.11)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20170910/1505017011

パッケージソフトのカスタマイズ量を見誤ったこと等によりユーザがコンティンジェンシープランを発動したことにより履行不能とした事例(東京地判平31.3.20)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2019/04/30/225039

■上記事案において,個別契約の履行が終えているなどとして,履行不能を否定した事例(東京高判令3.4.21)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2021/06/20/020351

マイグレーション案件において、スケジュールに遅滞し、完成させる見込みがなかったとして履行不能を認めた事例(東京高判平29.12.13)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2022/07/30/174328

■要件が不十分であったりしたとしても,システム開発を請け負った者であればユーザに対して発問して具体化することが求められるから遅延の責任は免れないとした事例(東京地判平3.2.22)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2019/10/12/141255

■ユーザからの契約解除は,当初の計画に遅延し,たびたび追加費用を請求されたことによって信頼関係が破壊されたことを理由とするものであって民641による損害賠償責任は生じないとした事例(東京地判平30.10.12)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2019/10/13/100536

■基本設計の途中で頓挫したのは,ユーザからの要求にベンダが対応していたからであって,遅延の責任がベンダにはないとされた事例(東京高判令2.1.16)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2020/07/14/175957

■頻繁にやり取りが行われていた過程で突如連絡が途絶えたという場合において,請負人は誠実に回答すべき義務があり,注文者が中止を求めたこともやむを得ないとして仕事の完成を否定した事例(東京地判令2.2.26)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2021/01/13/232651

■準委任契約であっても、適切な計画を立案し、それを遂行する義務を負うのであって、実現性に乏しい計画立案等がある場合には善管注意義務違反があるとした事例(東京地判令2.9.24)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2022/03/24/001127

■PaaSの標準部品を用いてカスタマイズを行う等の開発手法を誤り、プロジェクト・マネジメント義務を違反したとして、ベンダの責任を認めた事例(東京地判令4.6.17)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2022/07/18/202916

システムの完成

■完成は最後の工程を終えているか否かで判断(本番稼働開始が最終工程)(東京地判平22.1.22)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20111228/1327155107
(同旨 東京地判平14.4.22 http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20100110/1327130501
(同旨 東京地判平22.12.27 http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20121211/1355210040
(同旨 東京地判平25.9.30 http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20150412/1428844809
(同旨 東京高判平26.1.15 http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20140621/1403359427
(同旨 東京地判平26.10.1 http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20150607/1433684392

■現実にシステムが交付されている以上,納入後の瑕疵担保責任の問題として捉えるべき(東京地判平16.12.22)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20120211/1328972668
(同旨 東京地判平22.12.28 http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20140723/1406125865

■ユーザが要求仕様書において要求し,ベンダが技術仕様書にて約束した機能が実現して稼働する状態が達成されて初めて完成とみなされる(完成を否定)(旭川地判平28.3.29)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20161103/1478099168

■上記の原審判決に対し,指摘事項はほぼすべて対応していたとして完成を肯定した控訴審(札幌高判平29.8.31)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20170929/1506693075

システムテスト,本番リハーサルの工程はユーザが行うべき工程であって,ベンダが行うべき作業は一応終了しているとしてシステムの完成を認めた事例(東京地判平22.12.28)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20140723/1406125865

■瑕疵を無償で補修するのはいわゆるアフターサービスであって、開発請負契約基づく債務そのものは、開発作業の商取引上の終了を確認する「検収」によって履行完了となる(東京地判平15.5.8)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20120825/1345902466

■納期に遅れたものの取り戻せる程度であり,実証実験が完了したことから債務の履行はあった(東京地判平23.12.29)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20121124/1353764686

■稼働当初に不具合が発生し安定稼働していなかったものの,データ移行を完了し,稼働させる意思があったことから完成は認められる(東京地判平23.8.26)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20121125/1353769408

■請負代金を支払ったという事実が仕事の完成という事実を当然に推認させるわけではない(東京地判平22.12.27)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20121211/1355210040

■旧システムの機能水準が達成されていないことを理由に完成を否定(東京地判平22.9.21)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20110831/1327154433

■検証判定に基づいて未実装の機能,不完全な機能があるとして完成を否定(東京地判平23.4.6)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20120327/1332859124

■テストを実施していれば作成されるべきテスト仕様書,結果報告書がなかったことからテストは実施されていない(東京地判平21.7.31)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20110419/1327152482

■ユーザの主張する機能はいずれも見積書記載にとどまり発注に至っていないことなどから,合意の範囲には含まれておらず,ベンダに債務不履行はない(東京地判平21.2.18)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20120205/1328371745

■ソフトウェアの仕様書は複雑なものであるから,これに記載がないからといって,契約の内容になっていないということはできない(東京地判平16.6.23)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20130606/1370530204

■最終画面の一致,テスト結果報告書の送付等が行われ,動作可能な状態になったシステムについて,不具合の瑕疵修補の問題が残るせよ完成したと認められた事例(東京地判平24.3.14)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20160111/1452489389

■ユーザによる検証の結果,50-60%の完成度にとどまるとされたこと等の事情の下ではシステムは完成していない(東京地判平17.4.14)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20110129/1327152321

■ベンダがシステムをアップロードし,管理画面へのアクセスID,パスワードを通知したことを以て検収が可能な状態になったことから,引渡しがあったと認められる(東京地判平24.3.27)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20121222/1356187145

■ベンダによる成果物の提供は有効な弁済であって、ユーザがそれと異なる要求をしていたとしても、ベンダはその提供日以降の債務不履行責任は負わない(東京地判令3.3.17)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2023/07/22/155128

■納品後10日以内に書面で検収結果を通知しない場合には検収合格とみなす,というみなし検収合格規定に基づいて,検収合格が認められた事例(東京地判平24.2.29)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20130106/1357399127

検収合格証の交付により開発義務の履行を認め、指摘された不具合の内容は稼働に支障を生ずるものではないとして稼働保証責任も否定した事例(東京地判平30.2.6)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2023/10/14/171507

■受付件数167件のうち,成功したのは32.5%に過ぎないこと等の不具合の存在から,仕事の完成を否定した事例(東京地判平16.6.23)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20130606/1370530204

■ベンダ側の協力がなかったとして,みなし検収合格規定の適用を否定した事例(東京地判平16.6.23)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20130606/1370530204

■データ移行作業を完了させることが債務の内容であり,これが完了していなければ不完全履行であるとした事例(東京地判平24.3.14)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20130405/1365148116

■検査合格を以って完成とする条項があったが,特にクレームもなく発注が繰り返されていたことから黙示的な完成が認められた事例(東京地判平25.9.26)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20140517/1400301097

■ベンダが行う最後の工程であるシステムテストが完了し,検収確認書が交付されたことから完成が認められた事例(東京地判平26.10.1)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20150607/1433684392

■アプリはリリースされたものの,Bluetoothによる対戦が実装されていないケースにおいて,仕事の完成が否定された事例(東京地判平26.10.28)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20151015/1444837462

■ユーザの主張する機能は当業者にとっては自明のことであってもベンダにはそうではないから,これが実装されていないことを以って完成を否定できないとした事例(東京地判平28.4.1)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20161207/1481118619

■(CGデータの制作)本件業務における完成度を計るための「仕様」を表現するとすれば,請負人において,本件元映像にできる限り似せることだとしたうえで,個別のデータについて査定を行った結果の割合的報酬請求を認めた事例(東京地判平20.12.25)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20130428/1367140729

■確定した仕様どおりに開発されているか否かをもってシステムの完成は判断されるとし,ユーザテストの不具合が再現しないことや,ユーザの挙げる不具合はいずれも軽微なものであることから完成を認め,さらにはベンダ代表者が謝罪したことや調停で譲歩した事実などは完成判断を左右しないとした事例(大阪高判平27.1.28)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20170331/1490940341

■開発が完了したというためにはシステムが支障なく動作し,十分な性能を有するものである必要があるとしつつ,ドキュメント等が不十分でそれが認定できないとした事例(東京地判平26.9.10)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20170402/1491139756

■当初リリース日には遅延したものの,再リリース時点では完成しているとした事例(東京地判平29.3.21)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2020/06/26/232602

瑕疵(契約不適合)

■ユーザは構築するシステムに一定数のバグの混入は承知してかからなければならないものの,バグが著しく多く,順次発生してシステムの稼働に支障が生じる場合には瑕疵がある(東京地判平9.2.18)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20120105/1327155154

■注文者から不具合が発生したとの指摘を受けた後,請負人が遅滞なく補修を終えるか又は注文者と協議した上で相当な代替措置を講じたと認められるときは,システムの瑕疵には当たらない(東京地判平22.1.22)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20111228/1327155107
(同旨 東京地判平14.4.22 http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20100110/1327130501
(同旨 東京地判平18.1.23 http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20120622/1340293104

検収不合格,納品,再検査が繰り返しても多数の不具合があり,現行ホストの保守期限が満了するまでに稼働しえないときは,契約の目的を達成できない瑕疵があり契約解除事由になる(東京高判平26.1.15)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20140621/1403359427

■多数ユーザの利用が想定されていながら排他制御がないことは瑕疵にあたる(東京地判平22.1.22)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20111228/1327155107

■入荷引当の処理においてテストデータ300件の処理に44分を要したり,排他制御に問題がある場合には契約の目的を達成できない瑕疵にあたる(東京地判平16.12.22)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20120211/1328972668

■在庫照会の検索に30分以上要したり,システムの内容を変更すると電源投入後数十分起動しないこと等の不具合は,契約の目的を達成できない瑕疵にあたる(東京地判平14.4.22)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20100110/1327130501

■バグの除去は第一次的にはベンダの責任であり,重大な不具合についてはユーザの指摘を待つまでもなく当然にベンダが自ら是正すべき(東京地判平16.12.22)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20120211/1328972668

パッケージソフトに備わるべき機能が備わっていないとの主張は,システムの瑕疵に当たらないとされた事例(東京地判平22.12.28)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20140723/1406125865

■ユーザが指摘する不具合は,業務に時間がかかりすぎるという構造的な問題も含め,いずれも「瑕疵」にあたらないとされた事例(東京地八王子支判平15.11.5)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20120112/1327155178

■ユーザが指摘する不具合は,対応が完了しており,訴訟係属中にも検出されなかった事例(東京地判平26.9.25)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20150601/1433166338

■ユーザが指摘する不具合は,いずれも不具合とはいえないか,遅滞なく補修したものであって,ベンダに債務不履行はないとされた事例(東京地判平18.1.23)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20120622/1340293104

利用規約の誤植という瑕疵は認められるが,契約の目的を達成できないものとはいえないから契約解除は認められない(東京地判平24.3.27)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20121222/1356187145

■ユーザの指摘する6つの不具合の存在は認めつつも,いずれも二週間程度で修復できるとして,契約解除を認めなかった事例(東京地判平9.9.24)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20130503/1367593289

■FXシステムにおいて設定値に達したときから18秒遅れて約定したことについて,システム整備義務違反があるとした事例(東京地判平25.10.16)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20120919/1348031152

■下請の仕掛品を受け取って元請けが完成させた後にバグが発覚した場合において,そのバグを検出できなかったのは元請けの責任によるものであるとして,元請けからの損害賠償請求を否定した事例(東京地判平26.9.11)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20141223/1419323750

準備書面で主張されたシステムの不具合については,漠然としたものであって,請求権保全のための権利保全にはあたらないとして損害賠償請求が除斥期間にかかったとした事例(東京地判平25.9.30)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20150412/1428844809

■本訴提起後に主張された一部の不具合は除斥期間経過後のものであるとして瑕疵担保責任の対象にならないとし,その他の不具合についてもいずれも瑕疵に当たらないとした事例(東京地判平26.10.1)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20150607/1433684392

■同時に5件の注文処理ができなかったことは瑕疵にはあたるが,635条に基づく解除ができる程度の瑕疵にはあたらない(東京高判令2.2.26)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2021/01/20/000307

■ブラウザの戻るボタンの制御やネットワーク遮断時の処理が不十分であったことが瑕疵に当たるとされた事例(東京地判平29.1.20)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2023/04/12/222639

■ベンダは現行システムの機能を知り得る立場にないため、具体的にユーザから要求されていない限り開発の目的となっていたとは認められないとして、不完全履行を否定した事例(東京地判令4.3.29)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2023/08/03/191703

追加費用・仕様変更等の報酬算定

■仕様凍結合意は,それ以降は新たな機能の追加のほか,操作性にかかわる追加要求も認めないという合意を意味する(旭川地判平28.3.29)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20161103/1478099168
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20170929/1506693075(札幌高判29.8.31も同旨)

■商512条に基づき,契約済み分の1か月あたり報酬額をもとにして明確な合意がない期間6カ月分の報酬を算定した事例(東京地判平22.1.22)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20111228/1327155107

■実質的な作業期間が2カ月半でユーザ・ベンダ双方の責任で中断した場合の報酬額を100万円とした事例(東京地判平21.11.24)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20120121/1327155204

■機能数が増大したとはいえ,当初見積もりの20倍を超える金額での追加支払合意の成立を否定した事例(東京地判平23.4.27)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20121209/1355027444

■機能数が46から296まで増加したことについて,当初見積の単価(70万円)と実績工数から出来高清算義務を認めた事例(東京地判平23.4.27)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20121209/1355027444

■「追加費用が発生しないソフトウェア開発など希有であるといって過言ではない」などと判示しつつ,商法512条に基づいて追加報酬(その額はベンダの見積額)の支払いを認めた事例(東京地判平15.5.8)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20120825/1345902466

■営業・提案活動も含む要件定義作業時間のうち3割が報酬算定の基礎とし,1日あたり4万円として報酬を算定しつつ/ユーザの事前承諾なく行われた外部委託に関する費用は報酬に含まれないとした事例(東京地判平19.1.31)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20120421/1335021048

■当初金額の3倍を超える追加費用を請求した場合において,見積書の提出のみであり,追加だとされる部分も基本仕様書に記載されていたものであるから,追加支払いの合意が認められないとした事例(東京地判平23.6.3)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20121130/1354258733

■当初の業務範囲に含まれていなかった領域に関する開発報酬に関し,当初の契約に含まれるプログラム本数の1本あたり報酬に基づいて追加本数分の報酬を算定した事例(東京地判平17.4.22)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20120320/1332237683

■論理設計書に記載されていない作業に要した工数を追加発注の金額として認定した事例(東京地判平25.5.31)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20140113/1389541907

■追加のFit&Gap作業は準委任契約に基づく作業であり,明示的な合意がなくても,商512条に基づく相当な報酬として,標準単価×工数が請求できるとした事例(東京地判平22.12.28)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20140723/1406125865

■予定されていた工数より増加した場合であってもステップ数や工数に応じて報酬を支払うという合意がなく,また追加報酬を支払うという合意もない以上,ベンダによる追加報酬請求は認められない/商512条による報酬請求も認められない(東京地判平7.6.12)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20111010/1327154663

■システム保守案件について,見積もりに応じて発注がされている以上,見積工数を超過する請求工数は原則として認められない(東京地判平24.4.25)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20121230/1356873016

■発生した障害に基づいて無償保証合意が存在していたとしても,当該障害に無関係に生じた部品交換等の費用は商512条に基づく報酬請求が認められるとした事例(東京地判平25.5.30)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20131225/1387898018

■見積書しかない状態で注文された場合,見積書の金額をもって請負契約の代金額とする―建築工事の事例(東京地判平15.3.6)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20111015/1327154756

■下請けが途中まで開発し,元請けが完成させたという事例において,信義則に基づいて出来高割合による報酬請求が認められた事例(東京地判平26.9.11)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20141223/1419323750

■要求一覧表とそこに記載された工数と人日単価から追加報酬額が認められた事例(東京地判平25.9.30)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20150412/1428844809

SDKの技術仕様は発注者のほうが詳しく,その利用可否について下請事業者の調査義務違反はなく,基本設計書の納入後に追加された機能,作業について一部の追加報酬請求を認めた事例(東京地判平28.4.20)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20170111/1484120312

■追加費用の見積を行っておらず,単なるサービスではない有償の業務であることを告知した事情もないとして追加報酬請求を否定した例(東京高判平27.6.11)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20170910/1505017011

レベニューシェア型でサービスを開発する合意のもとに進めた場合,単に労力を投下したのみならず,サービス開始に至らない限りは商法512条に基づく請求は認められないとした事例(東京地判平30.2.27)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2019/06/24/215139

■順次追加の個別契約が締結されていた等の事情により,別途,見積金額を超える部分を事後的に調整する合意はなかったとして,追加代金の請求を認めず,不法行為の成立も否定した事例(東京地判平23.3.30)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2020/06/04/235354

■追加された工数に応じて支払うとの合意はないから,追加工数分の報酬を支払う合意の成立を否定した事例(東京地判平29.3.21)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2020/06/26/232602

■契約範囲外であると主張した作業については,いずれも本来業務を円滑に進めるため又は別途契約のための準備行為であるとして商法512条に基づく請求あるいは黙示の合意の成立を否定した事例(東京高判令2.1.16)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2020/07/14/175957

■追加作業は会社ではなく個人へ委託されたものであるとの被告の反論を排斥して追加発注を認定し、報酬額を他の発注の人月単価をベースに算定した事例(東京地判平19.10.11)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2023/02/21/225053

費用の減額

■発注者から減額要請があり,これに対応する請求書を出していたとしても当初の金額から減額する合意があったとは認められない(東京地判平23.12.29)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20121124/1353764686

■下請業者の作業遅延によって発注者が作業の一部を交換的変更した場合には,下請業者が実際に担当した作業相当額に変更される(減額を認める)(東京地判平20.12.10)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20130511/1368237765

過失・責任論

■ベンダの債務不履行による解除としては有効ではないとしても,民法641条に基づく解除としては有効である(東京地判平16.3.10)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20120210/1328884424

■プロジェクトの中止はユーザの内部事情によるものであるから,ベンダの付随義務違反と相当因果関係ある損害は,ユーザの請求の3割にとどまる(東京地判平28.4.28)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20160725/1469373646

■注文者による解除の意思表示が民法641条による解除ではなく,「債務の履行の見込みがないとき」とする約定解除にあたるとした事例(東京地判平22.7.13)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20130530/1369841914

■解除の原因は,ユーザの説明不足や連絡不足にあるとして,民641条に基づく損害賠償を認めた事例(東京地判平21.9.29)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20130706/1373123326

■システムの不具合及びその対処につき重大な過失があったベンダと,警告を無視したというユーザの誤操作の過失割合は7:3(東京地判平21.12.4 ―ジェイコム誤発注事件)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20091224/1327129845

■ユーザには多数の仕様変更を求めたこと,データ移行に不適切さがあったが,これらに適切に告知・指導しなかったベンダにも責任があるとして,ユーザに4割の過失割合を認定した事例(東京高判平26.1.15)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20140621/1403359427

ホスティング事業者が定める免責規定があることから,ホスティング利用者の先の第三者に対しても免責規定を超える責任は負わない/HP製のサーバが1年7か月後に故障したことは重過失とまではいえない(東京地判平21.5.20)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20111111/1327154887

ホスティング事業者の定めた免責規定は,通信障害等により一定期間サービスが利用できなくなった場合を想定したものであり,事業者の積極的な行為によってデータが消失した場合まで免責されるものではない(東京地判平13.9.28)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20111109/1327154793

■単体レベルのバグが多数存在してユーザテストが中止されたこと,責任を認める顛末書が2通出ていたことから,遅延の責任がベンダにあると認めた事例(東京地判平25.5.31)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20140113/1389541907

■ベンダからの改善提案を放置したことが情報漏えい事故の一因となっている場合には,過失相殺により3割を減ずるを相当とした事例(東京地判平26.1.23)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20141026/1414327403

■自らの処理能力を見極めないままユーザの追加要望に応じたベンダと,多くの要望を出したユーザの責任割合を8:2とした事例(旭川地判平28.3.29)(※ただし,高裁ではユーザの責任10割に変更)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20161103/1478099168

■Fit&Gap分析は契約上の義務ではなく,これを行わないまま履行期を徒過したことがベンダの責任ではないとした事例(東京地判平31.2.4)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2020/02/06/211011

■リリース日に遅延したのは,タイトな日程で,仕様も決まっておらず,発注者がデザイナらと行うべき必要な調整をしていなかったからだとして,ベンダは遅延の責任を負わないとした事例(東京地判平29.3.21)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2020/06/26/232602

システム開発が遅延したのは,ユーザが要件を提示せず,変更要求を繰り返したからであるとして,プロジェクト中止のベンダの帰責性を否定した事例(東京高判令3.4.21)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2021/06/20/020351

■デザイン確定から1.5カ月程度であれば当初の予定どおりであって遅れの責任は生じないが、それ以上の遅れについてはベンダの責に帰すべき事由がないとは言えないとした事例(東京地判令3.12.3)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2022/11/26/172813

損害論

■プロジェクトマネジメント義務違反が生じる前に支払われた費用は損害に含まれず,その後に支払われた費用については損害賠償責任が生じる(東京高判平25.9.26)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20131007/1381072443

■プロジェクトのための出張旅費,残業代は相当因果関係ある損害としつつ,要件定義,外部設計費用は開発段階に生じた瑕疵の相当因果関係ある損害としなかった事例(東京高判平26.1.15)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20140621/1403359427

■中間検収がなされて代金が支払われた部分も解除による損害に含まれる(東京地判平22.5.21)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20120124/1327334098

■分割して納品・検収・支払を行うことが合意された場合において,最終納品ができず解除された場合でも,分割検収済みの部分には解除の効力は及ばない(東京地判平25.7.18)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20140505/1399260492
同旨(東京地判平25.7.19)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20140924/1411540654

■元請けが発注者に対して支払った賠償金は下請に対する損害賠償に含まれるが,不具合対応に要した社内コストは損害賠償に含まれない(東京地判平22.1.22)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20111228/1327155107
(同旨 東京地判平16.12.22 http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20120211/1328972668

■作業が遅延したことによって元請けが肩代わりした作業工数相当額が損害となる(東京地判平25.5.31)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20140113/1389541907

■契約解除された以上,納入されたシステムの改修費用は損害にならない(東京地判平22.9.21)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20110831/1327154433

■ユーザの逸失利益は損害に含まれない(東京地判平23.4.6)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20120327/1332859124

■プロジェクト・マネジメント責任を果たさなかったベンダは,不法行為に基づく損害賠償責任として,それまでに至るフェーズの支払相当額,他ベンダーへの支払相当額の賠償責任を負う(東京地判平24.3.29)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20120523/1337775069

■有効な契約解除があった場合における原状回復請求については過失相殺の適用・類推適用はない(東京地判平21.7.31)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20110419/1327152482

■運用保守契約における履行があった期間に相当する報酬は,解除に基づく原状回復義務の範囲には含まれない(東京地判平16.6.23)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20130606/1370530204

■要件定義工程はシステム工程全体の9分の1程度であることから,予定金額の9分の1が損害として請求できる(東京地判平20.7.29)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20101119/1327131833

■ベンダも正式な契約締結前に着手し,損害を拡大しないような措置をとっていないことからベンダに生じた支出の70%を請求できるにとどまる(東京地判平19.11.30)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20120104/1327155128

■見積金額について疑問が呈せられ,信頼が揺らいだのちに発注されたハードウェア代金は契約締結を信頼したために被った損害とはいえず,また,ベンダが正式契約締結に向けた働きかけにおいて落ち度があるため損害の2割を減額した事例(東京地判平24.4.16)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20130104/1357293948

■民641に基づく損害として,開発・営業に従事した従業員の時給相当額と,履行利益として当該案件での想定利益の額を認めた事例(東京地判平21.9.29)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20130706/1373123326

■ゲームソフトの開発が遅延したことによって,広告費用,社内人件費に加えて,販売機会を逸失した本数に平均利益を乗じた額の損害を認めた事例(東京地判平19.4.25)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20130903/1378194132

■保証業務を履行しなかったために第三者に委託した費用については損害として認めつつも,社内の人件費については認めなかった事例(東京地判平25.5.30)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20131225/1387898018

■請負人の債務不履行による損害の範囲には,代表者や従業員の人件費相当は含まれないとした事例(東京地判平30.3.6)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2021/08/15/180811

■瑕疵修補に代わる損害賠償の額として,発注者のエンジニアの単価×工数に基づいて算定した事例(東京地判平25.9.26)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20140517/1400301097

■瑕疵修補に変わる損害賠償の額として,修補費用と修補期間相当の逸失利益を認め,さらにユーザの過失2割5分を過失相殺した事例(東京高判令2.2.26)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2021/01/20/000307

民法641条に基づく損害の額は,当初契約の委託料から支払済みの額を控除した残額だとした事例(東京地判平27.3.24)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20151119/1447861157

■顧客のお詫び費用,漏えい事故調査費用のほか,機会損失として民訴法248条を適用して損害の一部を認めた事例(東京地判平26.1.23)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20141026/1414327403

■本来は8500万円相当のシステムについて500万円で受託したために,賠償額の上限が500万円となるのは公平性を害するとして,出来高相当の額を上限とした事例(東京地判平16.4.26)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20141231/1420000481

■プロジェクトの頓挫によって不要となった他システムの導入・改修費用のほか,コスト削減機会の損失をユーザの損害と認めつつ,ベンダの得べかりし利益の一部を損害と認めた事例(旭川地判平28.3.29)※高裁にて変更
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20161103/1478099168

■特殊な訴訟であることを理由に,債務不履行に基づく損害賠償責任においても,弁護士費用の請求を認めた事例(東京地判平28.11.30)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20180108/1515421342

マイグレーションの失敗によって旧システムの延長に伴う費用,保守費用を損害として認めた事例(東京地判平28.10.31)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20180209/1518105903
控訴審 東京高判平29.12.13 https://itlaw.hatenablog.com/entry/2022/07/30/174328 )

■中途解約における契約条項の解釈において「終了部分」とは検収合格した部分のみを指し,「未収部分」も実施中の工程部分に限り,かつ,当該条項は民法641条の特則を定めたものであって,別途の損害賠償請求はできないとした事例(東京高判令元.12.19)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2020/08/30/214659

■既存部分に追加して開発する形態の契約において、ソフトウェアを使用不能にさせたことにより、既存部分の開発費用相当額も損害に含まれるとした事例(東京地判令3.9.30)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2022/05/04/231359

■要件定義フェーズ終了時点にてすでに問題があり、設計・開発フェーズ以降に支払った報酬と、第三者ベンダ等に支払った報酬のすべてが損害となるが、過失相殺によりベンダの責任は85%であるとした事例(東京地判令4.6.17)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2022/07/18/202916

■パッケージ導入時の配慮義務違反により、代金相当額全額と、ネットワーク工事費は相当因果関係ある損害であるとした事例(東京地判令3.12.2)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2022/11/19/003613

履行遅滞による解除によって、支払済代金全額の原状回復請求のほか、デザイン料として100万円を損害として認めた事例(東京地判令3.12.3)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2022/11/26/172813

■開発頓挫による損害の範囲:ハードウェア購入代金(肯定)、資格認定のための委託費用(肯定)、ユーザの人件費(否定)(東京地判平29.1.20)
https://itlaw.hatenablog.com/entry/2023/04/12/222639

合意解約

■ユーザの目的が達しえないことから契約が合意解約されたとするのが当事者の合理的意思に合致する(東京地判平21.11.24)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20120121/1327155204

■初期費用を負担せず,月々の利用料を支払うサービスにおいて,ベンダの責に帰さない事由による解約の際には残期間分の利用料を支払うという解約条項の合理性を認めた例(東京地判平26.11.5)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20150716/1437033151

その他

システム開発における各工程の比率に関する一般論(東京地判平22.5.21)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20120124/1327334098

■独自のフォーマットに準拠した一部分のみのプログラム作成を委託した場合には,当該プログラムの著作権は,原則として委託者に帰属する(東京地判平16.4.23)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20120921/1348154359

■特段の著作権移転,ソースコード引渡しに関する合意がない限り,開発者は委託者に対してソースコードの引渡しをする義務はないとした事例(大阪地判平26.6.12)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20140627/1403832204

システム開発紛争の審理において,裁判所の訴訟指揮と当事者の協力がたたえられた事例(東京地判平9.2.18)
http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20120105/1327155154