IT・システム判例メモ

弁護士 伊藤雅浩が,システム開発,ソフトウェア,ネットなどのIT紛争に関する裁判例を紹介します。

知財

ソースコードの秘密管理性 大阪地判令6.7.30(令2ワ1539)

元従業員が、ソースコードを不正に持ち出した等として、不正競争防止法に基づく差止請求等を行った事案において、営業秘密該当性(秘密管理性)が問題となった事例。

和解条項の解釈とプログラムの複製 東京地判令5.2.3(令2ワ13631)

過去の裁判外の和解、裁判上の和解の違反の有無が争われたほか、システムの導入が不正競争(営業秘密)または著作権侵害(複製権侵害)に当たるかが争われた事例。 事案の概要 請求が多岐に渡るため、、ここで取り上げる争点に必要な限度で事案を簡素化する…

システム全体の著作物性 知財高判令4.7.13(令4ネ10023)

プログラムやデータベースといった個々の構成要素ではなく、ハードウェア・ソフトウェアの組み合わせや選択といったシステム全体の著作物性が争われた事例。

プログラムの著作物性と複製の黙示的承諾の有無 大阪地判令6.1.29(令元ワ10940)

相当程度の分量があるプログラムのソースコードには創作性があるとして、著作物性を認めたが、複製・改変することの承諾があったとして、著作権侵害を否定した事例。

棋譜データの利用と配信 大阪地判令6.1.16(令4ワ11394)

対局実況中継番組を配信する事業者が、Youtube等に投稿された棋譜中継動画の削除申請を行ったことの適否が問題となった事例。

情報番組における個人サイト記事の無断利用 知財高判令5.3.16(令4ネ10103号)

Eテレ番組の「将棋フォーカス」において、原告が運営するサイトの文章と類似するナレーション・字幕が使用されたことについて、著作者人格権侵害となるかが争われた事例。

YouTube動画の引用 知財高判令5.3.30(令4ネ10118)

YouTube動画によって名誉毀損されたと主張する者が、当該動画の一部を複製して権利侵害を訴える動画を作成したことについて、引用(著作権法32条1項)が成立するかどうかが問題となった事例。

個人への業務委託と著作権譲渡の合意 東京地判令5.5.31(令3ワ13311)

フリーランスとの契約に基づいて制作された動画の著作権が譲渡されたか否かが争われた事例。

スクショ形式による引用の成否 知財高判令5.4.13(令4ネ10060)

スクショ形式で、ツイートを貼り付けた行為について、著作権侵害の成否が争われた事例で、控訴審にて判断が覆った事例。

テスト設計書ひな型の著作物性・営業秘密該当性等 東京地判令4.5.31(令元ワ12715)

テスト業務の専門事業者から退職した従業員が、テスト設計書のひな型を持ち出して転職先で使用したという件について、誓約書違反、不法行為、著作権侵害、不正競争(営業秘密)など、さまざまな根拠を挙げて損害賠償請求を行ったという事案。

委託業務で提供されたデータの流用 東京地判平24.7.11(平23ワ6204)

委託された法令データの編集業務のために提供されたデータを、受託者が別の業務に流用したことが問題となった事例。

退職従業員によるUSBメモリの持出し行為に対する不競法・秘密保持契約・所有権に基づく請求 東京地判令4.10.5(令2ワ21047)

従業員が退職前にUSBメモリにデータを複製して持ち出した行為に関し、不競法(営業秘密)、秘密保持契約に基づく差止、廃棄のほか、USBメモリの所有権に基づく返還請求がなされた事例。 事案の概要 昭和57年4月にXに入社し、平成31年1月からマーケティング…

ゲームキャラクターの類似性とインラインリンク 東京地判令4.4.22(平31ワ8969)

ゲームのキャラクター画像の類似性と、インラインリンクにおける著作権侵害の行為主体が問題となった事例。

プログラムの創作性(否定)東京地判令4.8.30(平30ワ17968)

プログラムの著作物性(創作性)が争点となった事例。

証拠保全結果を踏まえたライセンス違反による損害賠償請求(否定) 大阪地判令4.9.29(令3ワ4692)

ソフトウェアの不正コピーの通報を端緒に、証拠保全が行われ、ライセンスチェックの結果をもとに不正コピーが主張されたが、その評価が争われた事例。

情報の秘密管理性・創作性、従業員引抜等が問題となった事例 東京地判令4.8.9(令3ワ9317)

退職従業員が作成した資料の秘密管理性(営業秘密)、創作性(著作物性)のほか、従業員の引抜行為、顧客の切替勧奨など仲違い事案において頻出する多くの論点が問題となった事例。

スクリーンショットと引用該当性 知財高判令4.11.2(令4ネ10044)

ツイッター公式の「引用リツイート」の方法によらず、スクリーンショットによってツイートを転載したことが適法な引用に当たるかが争われた事例。

プログラムの職務著作の成否と著作権法47条の3の適否 知財高判令3.5.17(令2ネ10065)

情報処理科の非常勤講師が開発したプログラムについて職務著作の成否と、著作権法47条の3等に基づく複製・翻案の成否が問題となった事例。

ビジネスソフトウェアの表示画面に関する著作権侵害(控訴審)知財高判令4.3.23(令3ネ10083)

書店向け業務ソフトの表示画面に関する著作権侵害の成否が争われた事案の控訴審判決。

ビジネスソフトウェアの表示画面に関する著作権侵害の成否 東京地判令3.9.17(平30ワ28215)

書店向け業務ソフトの表示画面に関する著作権侵害の成否が争われた事案。

ツイートにおけるスクショの添付と引用 東京地判令3.12.10(令3ワ15819)

スクリーンショット形式でツイートを添付した行為について,引用の成否が問題となった事例。

放置系RPGの著作権侵害 知財高判令3.9.29(令3ネ10028)

スマートフォン用RPGのゲームの著作権侵害が争われた事例。

著作権侵害と表明保証違反 東京地判令3.6.18(平31ワ3100)

全株式取得による買収の直後に,大胆な著作権侵害の事実が発覚したことにより,表明保証違反・補償義務の有無が問題となった事例。

ハッシュタグ使用と商標的使用 大阪地判令3.9.27(令2ワ8061)

他社のブランド名のハッシュタグを使用したメルカリの出品者に対して,商標権侵害を認めた事例。

1ライセンスでの使用可能な範囲の解釈と,違約金合意の有効性 東京地判令3.3.24(平30ワ38486)

ソフトウェアの1ライセンスで許諾される利用可能な範囲と,通常料金の10倍という高額な違約金を定める条項の有効性が問題となった事例。 注:知財高判令3.11.29(令3ネ10035)にて,原審が維持されている。特に特筆すべき個所はない。

業務上作成したソースコードの保存等請求と特定 東京地判令元.12.26(平29ワ28231他)

会社が退職した従業員に対し,業務上作成したソースコードの保存してPCの引渡し等を求めるとともに複製等を禁止するよう求めたところ,その特定性が争われた事案。

プログラムの著作物性(否定)東京地判令2.3.4(平29ワ19073)

ステップ数が多いこと,機能が特殊であること,命令後の選択,ライブラリの呼び出しやパラメータの設定等に工夫をしたことなどの主張がいずれもプログラムの創作性の認定に至らなかった事例。

プログラムの著作物性(肯定)大阪地判令3.1.21(平30ワ5948)

構造体の採用,高速化等の処理方法の具体的な工夫によってプログラムの創作性が認められた事例。

ウェブサイト構成要素の著作権侵害と権利譲渡の合意 知財高判令2.10.28(令元ネ10071)

ウェブサイトの制作者が,プログラム,データ,画像等の著作権に基づいて,差止請求等を行った事案。

共同事業における収益金分配にかかわる争い 東京地判平31.2.15(平29ワ10909)

ポータルサイトを共同で運営していた事業者間で分配金の支払いに争いが生じて契約が解除され,逸失利益等が請求された事例。 事案の概要 Xはプログラムの開発と運用を,Yは企画や顧客対応を担って,共同でポータルサイトを運営していた(本件事業)。本件事…