IT・システム判例メモ

弁護士 伊藤雅浩が,システム開発,ソフトウェア,ネットなどのIT紛争に関する裁判例を紹介します。

開発

請負か準委任か/未完成の責任 東京地判平27.11.24(平25ワ15414)

開発に関連する2つの契約について、法的性質(請負/準委任)が争われたほか、請負とされた契約が未完成に終わった場合において、全体のPMを担当していた発注者の責任だとされて報酬請求が認容された事例。

検収がない場合における請負代金請求の可否 東京地判令4.6.22(平29ワ7335)

システム/製品の納入を目的とする請負契約において、検収をしていないから払わないとの主張が排斥された事例。

自治体システムへの不正アクセスとベンダの責任 前橋地判令5.2.17(令2ワ145)

ファイアウォール設定の誤りの脆弱性により不正アクセスが行われ、自治体のシステムから個人情報の漏えいした疑いがある件について、ベンダの重過失が認められた事例。

開発業務委託におけるソースコード引渡義務の有無 東京地判令4.3.15(令元ワ29058)

継続的なメンテナンスが予定されていたことから、注文書に明記されていなくても、実行ファイルのみならずソースコードの引渡義務もあったとし、ソースコードの最新版が提供されなければ債務不履行となるとされた事例。

ベンダが提供していない決済モジュールの不具合による情報漏洩事故 東京地判令2.10.13(平28ワ10775)

ECサイトにおけるクレジットカード情報漏洩事故が、決済代行業者から提供されたモジュールの不具合があったという場合において、開発ベンダの責任がモジュールの仕様・不具合の確認まで及ぶか否かが問われた事例。

検収合格証の交付と課題管理台帳 東京地判平30.2.6(平26ワ10135)

検収合格証を交付していたことから開発義務の債務不履行を否定し、課題管理台帳の内容も正常稼働を妨げる要因となるものはないとして稼働保証責任の不履行も否定した事例。

納期変更の合意と「現行踏襲」の不達成 東京地判令4.3.29(平31ワ5697)

所定の納期に遅延したことについて変更合意があったか否か、現行踏襲が実現されていないことが不完全履行にあたるか等が問題となった事例。

履行の提供が認められて履行遅滞の責任が否定された事例 東京地判令3.3.17(平27ワ23788)

契約上の納期に遅延したものの、納期の変更が合意されたと評価したうえ、変更後の納期にベンダが成果物を提示したことが、有効な弁済の提供にあたるとして、履行遅滞の責任が否定された事例(民法492条)。

複数の個別契約の解除の可否(Z会・日立ソル事件)東京高判令4.10.5(令4ネ2390)

システムの本番稼働直後に復旧不能な障害が発生して頓挫した事案において、契約解除の範囲等が争われた事例。

納期変更合意の内容やシステムの不具合、損害の範囲等 東京地判平29.1.20(平25ワ15660)

カジノシステムの開発委託が頓挫し、納期変更合意の内容やシステムの不具合、損害の範囲等が問題となった事例。

仕様追加に伴う追加発注の範囲と人月単価 東京地判平19.10.11(平17ワ20488)

追加作業は会社ではなく個人へ委託されたものであるとの被告の反論を排斥して追加発注を認定し、報酬額を他の発注の人月単価をベースに算定した事例。

サイト開発の遅れによる契約解除 東京地判令3.12.3(令2ワ5059)

サイトの開発が遅れたことによる契約解除の可否が問題となった事例。

パッケージソフト導入の際におけるベンダの事前の説明義務 東京地判令3.12.2(平31ワ3449)

ベンダが導入したパッケージソフトが、ユーザの業務要件を満たさないものであったとしてベンダの事前調査・説明義務違反が問題となった事例。

開発契約の成立を否定した事例 東京地判平30.11.30(平29ワ3861

提案書、見積書の提出を経て、初回代金が支払われたが、システムの内容が明確になったとはいえないとして契約の成立を否定した事例。

契約の成否と契約締結上の過失 東京地判平29.1.13(平26ワ14718)

要件定義フェーズ後に、開発フェーズの作業を実施したものの金額等の条件の合意に至らず中止された場合において、注文者の契約締結上の過失責任が認められた事例。

SES契約における期間途中の撤収の責任 東京地判令3.12.20(令2ワ20021)

顧客からのクレームに納得できず、SES契約の期間途中に(ほかの案件も含めて)要員を撤収させたこと適否が問題となった事例。

マイグレーションの失敗(控訴審)東京高判平29.12.13(平28ネ5331)

AS400からのマイグレーション事案で履行不能が認められた東京地判平28.10.31の控訴審。ただし、ここでは、基本契約に定める方法に沿わない形での個別契約の成否についてのみ取り上げる。

PaaSを用いた開発の頓挫 東京地判令4.6.17(平29ワ39859)文化シヤッターvs日本IBM

PaaSを用いた大型のシステム開発紛争において、ベンダの開発手法・方法論の選定や、プロジェクトマネジメント違反等による損害賠償責任が認められた事例。

アジャイル開発と開発言語の合意・未完成の責任 東京地判令3.9.30(平31ワ3149)

アジャイル開発の紛争事例。ポイントは、①契約の性質は請負か、②開発言語や納期などの債務の内容の合意、③損害の範囲。

準委任契約に基づく報酬請求と善管注意義務違反 東京地判令2.9.24(平28ワ28934)

開発は途中で終わった場合でも、準委任契約に基づく報酬請求はできるが、適切な計画立案・実行ができていなかったとして善管注意義務違反が認められた事例。

完成前の解除と既払金の返金と契約の性質 東京地判令2.3.13(平29ワ32845)

アプリ開発において契約が解除され、既払い金の返還が争われた事案において、契約の性質が請負契約か、技術・労務提供を目的とした無形契約であるか等が争われた事例。

先行開発の見切り発車と契約の成否 東京地判令2.6.15(平31ワ6095)

ベンダによる開発行為は,共同開発の委託という合意に基づくものであって相当報酬額の請求ができるか(主位的請求),仮に合意がなくとも合意が不成立になったことについて相手方に契約締結上の過失があるか(予備的請求)が問題となった事例。

契約の成立と契約締結上の過失(いずれも否定) 東京地判平30.1.31(平27ワ31116)

元請けから下請けに対し,請負契約の成立や契約締結上の過失を主張したがいずれも退けられた事例。

野村vsIBM事件控訴審 東京高判令3.4.21(平31ネ1616)

東京地裁の判断が覆されてユーザである野村HDの請求が棄却されたことで話題になった控訴審判決。

ソフトウェア開発契約の法的性質 東京地判令2.12.22(令元ワ21149)

ソフトウェア開発契約に基づく開発行為が,要件定義を行わず,都度要望を反映させる方式で,月額固定報酬であったことから,準委任契約であって,ベンダからの解約申入れが認められた事例。

アプリ本格導入に関する契約の成否 東京地判令2.2.27(平29ワ18724)

先行導入が行われ,本格導入に関するアプリケーション提供の契約の成否が問題となった事例(調印済みの契約書なし。担当者は本格導入に関する発言あり。)。 事案の概要 Xは,平成26年5月ころ,M社からエンジンの提供を受けて,本件アプリのプロトタイプを開…

瑕疵担保責任に基づく解除と損害賠償請求 東京高判令2.2.26(令元ネ2423)

本稼働させたシステムに性能上の障害があった場合において,瑕疵担保責任に基づく解除の可否と損害賠償の範囲が問題となった事例。 事案の概要 持ち帰り弁当店運営会社Yが,システム開発会社Xに対し,Web注文システムの開発を委託した。XY間の契約は,要件定…

請負人からの連絡が途絶えたことによる終了 東京地判令2.2.26(平31ワ774)

クラウドソーシングサービスを介して委託されたシステムの開発業務において,頻繁にやり取りが行われていたにもかかわらず突如連絡が途絶えたという場合,請負人は誠実に回答すべき義務があり,注文者が中止を求めたこともやむを得ないとして仕事の完成を否…

ウェブサイト制作委託契約における権利帰属と権利濫用 大阪地判令元.10.3(平30ワ5427)

ウェブサイトの制作委託契約において,開発の経緯等に照らして制作物の著作権が発注者に移転したこと及び,制作者による権利行使が権利濫用にあたると認められた事例 事案の概要 やや複雑な経緯を辿っているので簡略化して紹介する。Yは,Xに対し,ウェブ…

ユーザ都合による解約の場合の報酬・損害賠償請求の範囲 東京高判令元.12.19(平30ネ1254)

ユーザの都合によりプロジェクトを中止したというケースにおいて,ベンダが行った報酬・損害賠償の範囲が問題となった事例。特に,中途解約時における損害賠償請求について定めた条項と,民法641条の関係が問題となった。 事案の概要 紛争に至る経緯 平成23…